春になるとよく話題になるのがカルガモのお引越しですね。道路を一時通行止めにしたり、側溝に落ちたヒナが救出されたりというニュースにも、何だか気持ちがほっこりさせられます。
カモは基本的に渡り鳥ですが、カルガモだけは一年中日本に生息しています。そのため他のカモとは違う特徴を見せることもあります。

渡りをしない身近にいるカモ

カルガモの特徴

カモ目カモ科マガモ属に属する鳥です。全長53~63cmで雄の方が大きく、カモの中でも比較的大きな種類です。体全体が黒褐色で腰の部分に三日月のような白い模様があります。顔は白っぽく、日本の黒褐色の線が入っています。嘴は全体的に黒く、先端部が黄色なのでとても目立ちます。足は橙赤色をしています。

カルガモの生態

アジアの温帯から熱帯に分布しています。日本においては北海道では夏鳥、それ以外は留鳥です。冬になると海に下る個体もいて、海にいる他のカモたちと混じって生活することもあります。河川、海上、池沼などの水辺に生息し、草の葉、茎、実などの植物を主食として食べます。

カルガモの子育て

カモの仲間は日本に30種類以上もいますが、カモの殆どは冬鳥であるため春夏にはいなくなってしまいます。ところがカルガモは春夏も日本にいて繁殖をします。4~7月に繁殖期を迎え、集団でコロニーを作ることもあります。水辺の草むらや竹藪、休耕田などに営巣します。時には水辺からかなり離れた場所に巣を作ることもあります。
卵を抱くのはメスだけで、オスはその間離れた場所にオス同士で暮らします。10~12個ほどの卵を産み、26日ほどで孵化します。ヒナは生まれてすぐに歩くことができ、全員が生まれたらすぐに水辺に移動します。

カモでは珍しくオスとメスが同じ色

オスとメスの区別がつきにくい?

他の種類のカモは雌と雄が違う色をしているので見分けがつきやすいのですが、カルガモはカモにしては珍しくオスとメスが同じ色をしています。群れでいるときは大きさによって雄雌の区別がつくものの、単独の場合区別することは難しいです。
他のオスのカモは派手な羽に生え変わってメスに求愛します。これはオスが派手な色になることによって他の種類のカモとの交配を避けるためであると考えられています。けれどもカルガモのオスは繁殖期になっても地味なままです。これはこの時期に日本で繁殖するカモが他にいないために、オスが派手になる必要がなかったからではないかと考えられています。

カルガモの鳴き声は

カルガモはヒナの間は「ピヨピヨ」と可愛らしい声で鳴きますが、成鳥になると「グェーッグェッグェッ」というアヒルに似た太い大きな声で鳴きます。水面から飛び立つとき、また飛んでいる間に鳴くことが多いようです。

秋には狩猟の対象になる

美味なカルガモ

カルガモはマガモと並んで美味な鳥として知られています。日本ではマガモ、カルガモは狩猟対象として許可されていますが、数に制限があります。
狩猟開始の10月頃は特にカルガモが美味な時期と言われ、狩猟の対象とされます。

残酷な一面も

産まれたばかりのヒナは全身が柔らかい毛でおおわれた愛くるしい姿をしています。それにも関わらず、カルガモはより多くの子供を巣立たせるため、ヒナが多くなりすぎると殺してしまうことがあります。それは自分の子供だったり、よその子供だったりすることもありますが、自然界の厳しさを思い知らされます。

まとめ

カルガモについてまとめてみました。
色々な側面を知ってしまうと次にカルガモに会った時に見る目が変わってしまうかもしれませんが、カルガモにとっては種の繁殖のために意味のあることには違いありません。自然との共存、厳しさについて、色々考えさせられますね。

 

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